八丈島旅行日記(その2)

(前回までのあらすじ)
八丈島に行くまでの船の中から飲んでいた我々。
書いているのは佐溝。

翌朝、起きたら御蔵島だった。港は外海にコンクリートが突き出ているだけでこりゃ接岸できるほうが珍しいわ、というかたちをしていた。そんな敷居の高さからか(御蔵島の敷居の高さはそれだけによるものではないが)御蔵島には自然がとても残っているらしい。伊豆諸島の中で5番目か6番目くらいに行ってみたい。いやいやしかし海がきれいで見とれてても全然飽きないが、到着まで3時間以上あるので、無理やり興奮する心を抑えて寝る。

我慢できずに2時間半後起床。島が近づき電波も入るようになっていたので、宿に電話をする。レンタカーを借りるためである。なんでもヨコヤマの見つけてきてくれた宿はレンタカー無料なのだそうだ。意味が分からないが、とにかく電話をしたら、港に車を置いておくので勝手に乗っていってくれとナンバーを告げられた。これが八丈島なのか、と先制パンチを食らった気分である。この常識が通じない、日常とは違う感じにいやが応にも気分は盛り上がる。
港についてみると、言われたナンバーの車が捨ててあった。鍵は開いている。なんだこりゃ。わけがわからん。ヨコヤマが慣れた手つきで車を漁ると鍵自体もすぐ出てきた。荷物を載せようとトランクを開けたら、シュノーケルセットまで入っていた。なんてぶっきらぼうなホスピタリティにあふれた島なんだ!ただ、シュノーケルは三分の二が壊れていたが。

島に着いたらまずすることは朝食の調達である、ということを昨年の大島旅行で飯を探して島を半周近くした挙句、変な海苔を載せただけのラーメンを高い値段で食わされた経験から我々は学んでいた。しかし開いてる店がない。また、大島の再来か・・・?と恐れつつとりあえず空港に向かってみる。食堂くらいあるに違いない。あった。誰もいないが食堂があった。麦飯定食みたいのを食う。薄味の味噌汁とおかゆ白身魚の西京焼きみたいなものがおいしい。実は西京焼きがどんなものなのかよく知らなかったのだが、恥ずかしいのでサトウが西京焼きっぽい、西京焼きっぽいと言うたびにうんうん、確かにね、と知ったかぶりをしていた。

知ったかぶりということで一つ。以前私は人からもらったプレゼントをその日の夜に飲んでいたらなくしてしまったことがある。後日くれた人に会ったときの会話が非常にスリリングであった事を思い出した。
「プレゼントありがとう」
「おいしかった?」
「おいしかったよ」
「スポンジ堅すぎなかった?」
「いやそんなことなかったよ」
クルミ入れすぎたかな?」
「丁度良かったと思うよ」
こうして、私はプレゼントの中身を見ずに「食べ物で、ケーキで、クルミが入っていた」ということを無事知り、会話を成立させることができたのだった。・・・こんなことはもう無いようにしよう。

朝食をとった我々がやることと言えばあとは泳ぐだけである。と、その前にマリンシューズと浮き輪を宿から拝借しなければいけないのを忘れていた。朝食後に宿に「貸して」とずうずうしい電話をしたら、「その辺にあるから勝手にもってって」とまた驚きの放任主義だったのである。とりあえず宿に向かい倉庫を漁る我々。宅配便のおっちゃんが「荷物(もちろん宿宛て)ここにおいておきますね」と我々に伝言して荷物をそのへんに置いていった。我々は「はーい」と返事をして車に乗りこんだ。島というところはこれほどまでに人を不用心にさせるのか。。。

マリンシューズをゲットし海に向かう我々。雨が降り出してきたのであわてて海に入る。海に入っちまえばおんなじだい!ということでシュノーケリングをする。海もきれいだし魚も多いし飽きない。竹芝桟橋にあれだけいた人たちは全然島では見かけず、水着のおねーちゃんもほとんどいないが、数少ないおねーちゃん(遠目ではきれいかどうかはわからない)を見たりしているうちにお昼になったので、ごく普通の生姜焼き定食を食べ、また泳ぎに向かう。せっかくなので島をぐるっと一周しつつ別の海岸へ向かう。

(まだまだつづく)