妄想デート4

前回のあらすじ
デートが楽しみすぎて、早く目が覚めてしまったのはいいけれど、服選びに時間がかかってしまい時間ぎりぎりになってしまった僕。

中央線に乗って、なんとか13時ぎりぎりに新宿駅についた。走って東口に向かう。
東口改札は、休日の昼という事もあって新宿駅にしてはも空いていたが、それでも待ち合わせの人は多く、僕はひろみ先輩を見つけられるか一瞬不安になった。
そして不安というものは一度生まれるとどこまでも増幅していくもので、待たせて疲れさせてしまうんじゃないか、このまま会えないんじゃないか、行き違いになってしまうんじゃないか、会えない間に変な男に絡まれて連れ去られてしまうんじゃないか、連れ去られて、新宿のどっかのキャバクラとかで働かされてしまうんじゃないか、数ヶ月後そんな事件があったことも忘れかけたころたまたま客として行ったそのキャバクラでやつれきったひろみ先輩と再会してしまい気まずい思いをしてしまうんじゃないか、、、時間にしては三秒くらいだったかもしれないが、様々なことが頭を駆け巡った。
「こっちこっち!」僕の不安を振り払ってくれたのは、やはり彼女の声だった。改札を出たときから、僕が不安そうにしているのを面白がって見ていたらしい。気づいていたならもっと早く声をかけてくれればいいのに。そう言ったら彼女はいたずらっぽく笑ったので、僕はそれ以上何も言えなくなってしまった。そういったちょっとした意地悪をされるのが僕は大好きなのを知っているんだろうか。
「練習5時からなんでしょ、時間ないから早く行こ」「は、はい」あわてて彼女を追ってアルタ前から地上に出て新宿通り方面に歩き出す。さっきから完全に主導権を握られてしまい情けない限りだが、彼女の少しあとを歩きながら僕は、さっき彼女が4時間という時間を「時間ない」と言ってくれたことを思い出して、少しにやついてしまっていた。どうも今日はにやついてばかりだ。
 今日は雲一つない快晴だ。道路からの照り返しも強く、地下道を通った方がよかったのではないかとも思ったが、ひろみは(このときすでに若干本当のデートっぽい雰囲気になってきていた。少なくとも僕は)日焼けのこととかは全く意に介さないかのように、どんどん新宿三丁目方面に進んでいく。

まだまだ続く。公演までに衣装は買えるのか?!

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劇団だるい009「I will say goodbye.」
7月19日(金)〜21日(日)@阿佐ヶ谷シアターシャイン
ぜひおこしください!