妄想デート3

散歩から帰ってきた僕は、早速午後何を着ていくか考えることにした。
本当なら「早く起きた朝に」で磯野貴理松居直美のおばちゃんトークを聞いている時間帯だが、そんなことをしている場合ではない。台本も読み返さないといけないが、そんなことをしている場合でもない。

本当は、台本を覚えていないのは僕だけなので、最優先にやらねばならないことではあるのだが。ひろみ先輩にこんな指令を出した大河内さんが悪いのだと思うことにする。僕が台本を覚えられないのは、大河内さんのせいだ。

そう思うと、いくらか気が楽になったので、4畳ほどあるクローゼットに入り服選びを始める。
ひろみ先輩はどんな服を着てくるのだろうか。それを考えると自然と顔がほころんでしまい、あわてて表情を戻す。
それにしても何を着ていこうか。あまりにおしゃれすぎて、向こうを気おくれさせてしまってもいけないし。
考えていたら4時間くらい経ってしまっていた。もう家を出ないと間に合わない。結局そのへんに転がっていた服を着て家を出る。これだから僕はだめなんだ。肝心なところで詰めが甘い。
しかしこのときはそんな反省より期待の方が圧倒的に上回っていた。

つづく。

どうでもいい話だが相澤くんは山手線内某所の豪邸に住んでいる、すごい育ちのいい子だ。この前、×××の値段を知っているか、と聞いてみたら「そんなのわかるわけないじゃないですか!」と怒られた。そして、食べたことはあると主張するのだが、最近食べたのはいつかと聞いてももごもごと全然教えてくれない。(ちなみに×××は、みんながよく食べるあのジャンクフードだ。山川や岡は稽古中もしょっちゅう食べていた。)
で、しばらくこのネタで稽古中いじっていた(若干相澤の機嫌は悪くなってきていた)ら、「昨日食べましたよ」と相澤がいう。おー、相澤も庶民の食生活を理解する努力をしているのだなと思い、何ていうのを食べたの?と聞いたところ、「商品名はわかりません。株主総会でもらったんで」という、さらに壁を感じる答えが返ってきた。

劇団だるい009「I will say goodbye.」鋭意稽古中だが、稽古場では相澤庶民化に向けた努力も行われている。